分裂直前のビットコインは18世紀英国の「南海バブル」そっくりだ

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11月にビットコインが再び分裂しようとしています。その時点は、11月16日とされています。

これを巡る情勢は、非常に複雑で、理解しにくいです。

私はビットコインを1つの社会実験として見ているだけですから、仮に価格が大暴落しても興味深いと思うだけで、痛くも痒くもありません。

しかし、ビットコインに巨額の資金を投入している人は、場合によっては巨額の損失を被るかもしれません。現在の状況は、18世紀のイギリスで起こった「南海バブル」に似てきました。十分慎重に行動する必要があります。


「Segwit2x」が11月中旬に分岐予定。「難易度調整」を表明する取引所

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11月16日にブロックチェーンの分岐が予定されているのは、「Segwit2x」というものです。

これに関する事態がどうなるかについて、取引所とマイナー(ビットコイン発掘者)の行動が大きな影響を与えます。

アメリカの有力な取引所であるコインベースは、「Segwit2x」に対する発表を10月24日に行なりました。そこでは、「累積難易度が高いほうをビットコインと呼ぶ(We are going to call the chain with the most accumulated difficulty Bitcoin.)」としています。

決済サービス専門のビットペイも、「難易度が高いチェーンをビットコインとして扱う」としています。難易度が低いコインは、現状で扱う予定がないことも発表しています(なお、世界の決済サービスで、コインベースとビットペイの2社でほとんどのシェアを占めています)。

ここで難易度(difficulty)について簡単に説明しましょう。

ビットコインにおける「マイニング」では、マイナーに計算問題を課します。その「難しさ」は、あるブロックのマイニングがほぼ10分間で終了するように、プログラムが自動的に調整し、10分より長くなるようなら難易度を上げ、逆に短くなるようなら難易度を下げます。

したがって、分岐した場合、一方の枝に性能の高い装置で演算をするマイナーが多数集まれば、そちらの枝の難易度が上がるわけです。


再分裂にマイナーはどう行動するか?

「難易度が高いほうを本家のビットコインとする」という上記の方針は、取引所が独自の判断をするのでなく、マイナーの意向に任せようということです。

コインベースは、これまで「現在のチェーンをビットコイン、(分岐した場合)Segwit2x fork を Bitcoin2x(B2X)と呼ぶ」としていたので、大きな方針の転換です。

「自分たちの価値判断に基づく独自の判断をしなくてよいのか?」という疑問は残ります。

しかし、取引所が独自の判断でどちらかだけを認めた場合、マイナーが、取引所が認めたコインを採掘せず、結局、そのコインの価値がなくなってしまえば、顧客に損失を与えることになります。そうしたことを考慮すると、これはやむを得ない方針と言えるかもしれません。

では、マイナーはどう行動するでしょうか?

まず、「Segwit2x」に賛成かどうかは「マイナーシグナル」を見ると分かります。


これは、マイニングで新たに作成されたブロックに、マイナーが意思表示しているものです。

これまでの状況は、図表1に示すとおりです。


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「Segwit2x 」に対する支持率は、11月5日で83.8%です。10月初めには90%を超えていたので、それよりは下がっています。


もちろん、これは単なる「シグナル」であって、強制力はありません。実際にどうなるかは分からないが、参考にはなります。

では、マイナーは、何を指標に枝を選択するのでしょうか。

彼らは、「ビットコインがどうあるべきだ」という主義主張や哲学に基づいて選択をするのではありません。

「どちらをマイニングすれば利益が多くなるか」に基づいて選択します。

マイニング報酬は、価格が高いほうが多くなります。したがって、マイナーは、価格が上がると予想するほうをマイニングすることになります。

実際にどうなるか、まったく分かりませんが、あり得る1つのシナリオは、つぎのようなものです。

ビットコインから「Segwit2x」がハードフォークした場合、ビットコインのマイニングパワーが減少する可能性があります。

なぜなら、「Segwit2x」を支持しているマイナーは、低下しているとはいえ、80%以上もいるからです。

ビットコインのマイニングパワーが減少すれば、ビットコインの承認速度はさらに遅くなるかもしれません。それは、ビットコインの人気を落とすので、価格を下落させるでしょう。

そうなると、ビットコインのマイニングの採算が悪化するので、マイナーは、「Segwit2x」かビットコインキャッシュをマイニングすることなります。

仮に多数のマイナーがビットコインキャッシュやB2Xのマイニングに移れば、ビットコインが壊滅する可能性も否定できません。仮にこう事態が現実化すれば、大混乱になるでしょう。


利用者はコインの安全性を判断する必要があるが……

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利用者の立場から見れば、単純に考えると、「Segwit」も「ブロックのサイズの拡張」も両方が導入されたほうが、取引がスムーズに進むから望ましいように思えます。

ただし、すでにビットコインキャッシュがブロックサイズを拡張しているから、不要だとも言えます。

実際、コア開発者たちは、サイズの拡張に反対しています。

上で述べたように、いずれかのコインの価値がなくなってしまう可能性を否定できません。ですから、保有者は、どのコインを持っていれば安全かを予測しなければなりません。

しかし、その判断は大変難しいです。


お互いに自分が正当だとする本家争い的な性格

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これまで、ビットコインキャッシュとビットコインゴールドが分岐したが、これらが分家であることは明らかでした。本家はビットコインだったのです。

しかし、今回はどちらが本家かが分かりません。今回の分岐は、本家争い的な性格を持っています。

上記のように、名前がどうなるかさえ、分からない状態です。

ということは、「本家、分家が共存するのではなく、どちらかが本家になって、他方が消滅する」ということが大いにあり得ることを意味します。

本家争い的な性格は、リプレイ攻撃への対処にも表れています。これは、意図せざる送金が起きてしまう危険があるということです。

8月にビットコインキャッシュが分岐したときには、問題はありませんでした。それは、保護策を講じたからです。

しかし、今回は保護策が十分ではありません。

十分でないのは、どちらも正当なビットコインであると主張しているためです。この問題については、すでにこのコラムで説明しました。


「南海バブル」に似てきた値上がり期待の購入で価格は上昇

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以上で述べたように、状況はきわめて不透明で、不確定です。

今後も今回のような混乱が続くと、ビットコインを安全な送金手段としては使えなくなってしまう。そうなれば、ビットコインの価格が大暴落しても不思議ではありません。

それにもかかわらず、いまビットコイン価格は上昇しています。

このところ仮想通貨への関心が高まっているが、ほとんどの人は、値上がりで利益を得たいと思って関心を持っています。仮想通貨を使うことによって新しい仕事を始めようと考えている人は少ないです。

雑誌等がビットコインの特集を組んでいるが、それも値上がり期待の購入があるからでしょう。

これは、「ビットコインを持っていれば、分岐したコインが付与されるので、資産が自動的に増える」という期待に基づくのではないかと考えられます。

しかし、これは、誤解であることは前回コラムで書きました。

現在の仮想通貨は、18世紀のイギリスにあった国策会社である南海会社の株式がバブルを起こしたときとそっくりです。

1720年、南海会社がスペイン植民地との独占的貿易権を取得して巨額の収入が得られるという噂が流されて、株価が上昇し、わずか半年の間に10倍にもなりました。

チャールズ・マッケイが、その状況をビビッドに描いています。

空前の投機ブームの中で、多数の株式会社が設立されました。「誰もそれが何であるか分からないが、とにかく莫大な富を生み出す事業を運営する会社」といったものまで現れました。

南海バブルの崩壊は、イギリス経済に甚大な悪影響を与えました。

物理学者アイザック・ニュートンまでもが、南海会社の株式で、2万ポンドに及ぶ損失を被りました。これは、現代の日本円に換算すれば5.6億円になります。

株式会社制度が禁止され、その後のイギリスの経済発展に悪影響を与えたのです。

いまの仮想通貨の場合も、いったん価格が下がればバブルが崩壊し、仮想通貨に対する信頼が失われる恐れがあります。

投機がなくなるのはよいことです。

ただ、問題は、技術面や利用面での開発が遅れてしまうことです。


株式や国債もバブル。問題はずっと深刻

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もっとも、バブル状態にあるのは、仮想通貨だけではありません。日本の金融市場もそうです。

現在の日本の株価は、日本銀行による上場投資信託(ETF)購入や、年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)による株式購入によって支えられています。

財政再建の見通しがまったく立たないことを考えれば、国債が暴落しても少しもおかしくありません。しかし、日銀の金融緩和政策によって買い支えられて、金利は異常に低い水準です。

ビットコインの場合には、バブルに巻き込まれたくなければ、買わなければよいのです。

しかし、国の経済政策の場合には、否応なしに巻き込まれてしまいます。

こちらのほうがずっと問題です。


さいごに

いかがでしたか?

このブログではビットコインに関する記事を書いておりますが、株に関する、より実践的なブログも日々更新しておりますので宜しければそちらもご覧ください。

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